相続登記の義務化とは|期限3年・過料10万円・費用と自分でやる方法

公開: 2026年7月11日

相続登記(不動産の名義変更)は2024年4月1日から義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象です。 注意すべきは過去の相続も対象なこと——2024年3月以前に相続した未登記の不動産は、2027年3月31日が期限で、もう1年を切りつつあります。 この記事では費用、間に合わないときの「相続人申告登記」、自分で申請する流れを解説します。

義務化の内容——過去の相続も対象

  • いつから——2024年4月1日施行。遺言で取得した場合も対象です
  • 期限——不動産の所有権を取得したと知った日から3年以内。遺産分割がまとまった場合は、その成立日から3年以内に分割内容を反映した登記も必要です
  • 過去の相続——施行前に相続したまま名義変更していない不動産も義務の対象で、期限は2027年3月31日。「亡くなった祖父母の名義のまま」の実家や山林が典型です
  • 罰則——正当な理由なく怠ると10万円以下の過料。いきなり科されるのではなく、法務局の催告に応じない場合に裁判所へ通知される流れです

間に合わないときは「相続人申告登記」——無料で義務を果たせる

遺産分割の話し合いがまとまらない場合は、「自分が相続人です」と法務局に申し出るだけの相続人申告登記(2024年4月開始)で、いったん義務を果たせます。 登録免許税はかからず、相続人1人からでも申し出可能で、戸籍も自分の分を中心とした簡易なもので済みます。 ただしこれは仮の対応で、不動産を売却・担保設定するには通常の相続登記が必要です。遺産分割がまとまったら、その日から3年以内に本登記を行います。

相続登記の費用

項目目安(2026年7月時点)
登録免許税固定資産税評価額の0.4%(評価額1,000万円なら4万円)。評価額100万円以下の土地は免税措置あり(2027年3月31日まで)
戸籍・住民票等の実費数千円〜1万円程度(相続人の数・続柄で変動)
司法書士報酬(依頼する場合)6万〜13万円程度(物件数・相続人数で変動)

※遺産分割協議が必要なケース、相続人が多いケースは報酬が上がります。

自分でやる流れ4ステップ

  1. 戸籍を集める——故人の出生から死亡までの戸籍+相続人全員の現在戸籍。2024年3月開始の広域交付制度で、本籍地が遠くても最寄りの市区町村窓口でまとめて請求できるようになりました(兄弟姉妹の戸籍などは対象外)
  2. 遺産分割協議書を作る——誰がその不動産を取得するかを相続人全員で合意し、実印+印鑑証明書を揃えます(法定相続分どおり・遺言がある場合は不要)
  3. 登記申請書を作成——法務局サイトの様式・記載例を利用。複数の手続きに使い回せる法定相続情報一覧図(無料)を先に作っておくと、銀行や年金の手続きでも戸籍一式の提出が不要になり効率的です
  4. 管轄の法務局へ申請——窓口・郵送・オンラインのいずれでも可。補正(修正指示)への対応も見込んで、完了まで1〜2か月みておくと安心です

放置する3つのリスク

  • 過料——正当な理由のない放置は10万円以下の過料の対象
  • 売れない・壊せない・貸せない——名義変更しないと売却も解体も担保設定もできません。実家じまいを考えるなら登記が最初の関門です
  • 相続人が増えて収拾がつかなくなる——放置中に相続人が亡くなると次の相続が発生し(数次相続)、面識のない親族数十人の合意が必要になる例もあります。時間が経つほど費用も難易度も上がります

よくある質問

Q. 過料は実際に科される?
法務局がまず催告し、それでも正当な理由なく申請しない場合に裁判所へ通知される仕組みです。「相続人が極めて多数で資料収集に時間がかかる」「遺言の有効性が争われている」などは正当な理由の例とされています。
Q. 引っ越したときの住所変更登記も義務?
はい。2026年4月1日から、所有者の住所・氏名の変更登記も変更日から2年以内が義務になりました(正当な理由なく怠ると5万円以下の過料)。
Q. 遺産分割がまとまらないまま3年が来そうな場合は?
相続人申告登記(無料)でいったん義務を果たし、分割成立後3年以内に本登記をしてください。
Q. 祖父名義のままの土地が出てきた場合は?
祖父→親→自分と相続を順にたどる数次相続の登記が必要で、これも義務の対象です(過去相続分の期限は2027年3月31日)。関係者が多く戸籍収集も複雑なため、司法書士への依頼が現実的です。
Q. 登記の費用は誰が払う?
法律の決まりはなく、その不動産を取得する相続人が負担するのが一般的です。

まとめ——過去相続分は2027年3月31日、まず名義の確認から

相続登記は「3年以内・過料あり」の義務になり、過去の相続分の猶予も残りわずかです。 まずは固定資産税の納税通知書や登記事項証明書で実家・土地の名義を確認し、未登記が見つかったら、遺産分割がまとまるなら本登記、まとまらないなら相続人申告登記で対応してください。 死亡直後からの手続き全体は期限順の一覧、登記後の実家の扱いは実家じまいの解説へどうぞ。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務判断に代わるものではありません。制度・税額・期限は2026年7月時点の情報で、法務省・法務局の公表資料に基づきます。